宇津木龍一さん(形成外科医)第4回「『常』をどこにおくかですべてが変わる」
宇津木さんが院長を務める「クリニック宇津木流」。診療項目はしわ・たるみに対する治療と予防。フェイスリフトでは表情筋処理や靭帯縫合など独自の技を駆使し、日本有数の技術をもつ。単なるシワの修正のみならず、自然で明るい表情と健康の改善にまでこだわり、65歳にして、10時間にも及ぶ手術をやりきる。アンチエイジングのプロフェッショナルである宇津木医師が語る、「心も体も若々しくいられる秘訣」とは?
歯を磨くと虫歯になる理由
早川:先生のご専門とは若干ズレますけど、歯磨き粉も理論で言うと同じことでしょうか?
宇津木:同じです。
歯磨き粉というのは、私はあまりいいものではないと思っています。
親が一生懸命歯を磨いている子どもは、だいたい虫歯になるんですよね。
うちの子は、親が歯磨きしてあげたことは子どもの頃から一度もありません。
本人もあまり重きを置いていなかったのですが、高校までまったく虫歯がありませんでした。
早川:ちなみに先生は今、歯磨き粉は使っておられるんですか?
宇津木:歯磨き粉は使ったことないです。
早川:歯ブラシだけですか?
宇津木:そうですね。ただ磨き方にコツがあります。
虫歯や歯茎に炎症があると、磨くたびに菌のついたゾーンを通って菌をまき散らすことになります。
私は、1カ所磨いたら水で洗い流すようにしています。
早川:歯もきれいですし、口臭もありませんよね。
宇津木:ありがとうございます(笑)。
子どもの頃は、みそっ歯だったのですよ。
歯をまったく磨かないのはまずいですが、磨きすぎるのも本当によくないと感じています。
早川:歯磨き粉もシャンプーと同じく害になるのでしょうか。
宇津木:そうですよ。
私も「歯は磨いたほうがいいのか」と気になって調べたことあります。
歯は小さな傷ができると、そこにものがたまっていって、だんだん虫歯が進行します。
本来であれば唾液の中にはカルシウムが含まれているので、ミクロの穴はふさいでくれるのですよ。
でも毎日一生懸命磨いていると、歯についたカルシウムまで全部落としてしまうので、虫歯に発展してしまいます。
何回も洗いすぎないということは大切です。
もっと気をつけてほしいのは、常に何かを食べることです。
常に何かを食べていると虫歯になりやすい口内環境になると思います。
早川:なるほど。
個人的に一番刺さったのが、本質的な考え方です。
先生がさっきおっしゃったように「常(つね)」をどこに置くのかによって全部変わってきますよね。
宇津木:そうですね。
私は今65歳ですが、55歳くらいのときから長い手術がいろいろな意味でしんどくなってきたのですよ。
そのときにわかったんですけど、水を脇に置くと、水分補給と言ってすぐに飲んでしいますよね。
あれをやっていると、もう本当に水なしではいられなくなります。
私は、手術中は10時間くらいであれば水も飲みたくなりません。
それがいいと言っているわけではなく、私の習慣の一つということです。
朝は歯を磨くだけで、夕方までほとんど水は飲みません。
そうしないと、水を飲みたくなったりトイレに行きたくなったりするので、10時間も手術し続けることができません。
子どもはまだいいのですが、50~60歳になると膀胱がどんどん縮んでいきます。
前に自分の膀胱に入る尿の量を調べたのですが、250グラムくらいしかありませんでした。
400ccくらいないと10時間は持ちません。
飲みたいときに水を飲んでいたら、1時間に1度はトイレに行くようになるはずです。
年を取るとさまざまな部分を鍛えないといけないと思っています。
食べる量と食べるものが健康をつくる
早川:先生が健康面で気をつけていることや習慣は何ですか?