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坂之上洋子さん(経営ストラテジスト/作家)第2回「どんな環境に自分を置くべきか」

坂之上洋子さんは、デザイナーとして数々の賞を受賞したり、米国のIT企業の副社長をしたりしながらも、そのキャリアを手放し、新しい環境で成果を残している。そんな彼女に「時代や場所を越えて自分らしく生き続けるために必要なこと」を聞いた(2019年2月対談)。

共働きのほうがお互いを理解できる

早川: ネットができたこともあり、昔より格段に起業しやすくなっています。
それこそ、お母さんが家にいながら、いろんなアイデアで働くチャンスもありますよね。
ぼくは経営者になって10年目ということもあり、「夫婦で一緒に起業したい」という方からの相談を受けることがあるんです。
ただ、個人的には、同じ会社でバリバリ働きながら、仲の良い夫婦というのは、あまり見たことがありません。
洋子さんはこれまでいろんなケースを見ていると思いますが、いかがですか?

坂之上:うまくいっているところもあるんですよ。
どちらかが専門職で、パートナーが事務面などでサポートしている場合はアリだと思います。
でも、両方が同じくらいのポジションっていうのはかなり難しいんです。
なぜかというと、お互いに遠慮をしなくなるから。
他人とのパートナシップだと、関係が壊れてはいけないので我慢するところもありますが、夫婦だとなんでも言うので、けんかになってしまうことが多いです。

早川:確かに、うまくいっている夫婦を見ると、どちらかがメインで片方が補佐というパターンが多いですね。
コミュニティやSNSが流行っていますけど、家庭、仕事、学校など、小さな共同体の中にもいろんな場所があります。
バランスも含めて、そこが大切ですよね。母親が働くのって大事だと思われますか?

坂之上:はい。母親が働いていると「うまくいかない」と悔しくなったり、「仕事の時間を短くしなきゃいけない」と悩んだり、とにかくいろいろなことがあると思います。
私は、その「ごちゃごちゃ」がすごく大事だと思うんです。
今日本では、女性は仕事と子育てを両方しないといけないじゃないですか。
家事は他人の手を借りてもいいと思うのです。
奥さんが稼いだ分、家事をプロの人にお願いしたっていい。

早川:そこはアウトソーシングも利用すると。

坂之上:専業主婦のやっていることは、完全に一つの仕事ですから。
アウトソーシングも上手に利用しながら働きに出てほしいです。
もちろん家事が大好きな人はやっていいと思いますし、否定する気はまったくありません。
なぜこんなことを言うのかというと、娘の同級生の保護者で、15年間働いていない人を大勢見てきたからです。

15歳って、友達と遊ぶとか、自分で好きに過ごしたい年頃じゃないですか。
仮に高校受験まで、18年間、母親がずっと働いてこなかったら、当然世の中もすごく変わっています。
その間社会と触れていないと、お金を稼ぐということが怖くて、難しくなると思います。
娘の同級生のお母さんたちは、私より才能がある人が山ほどいるんですよ。
だけど、自信がないから外に出られません。もったいなくて。

最初働いたときには、ものすごく給料が安かったとしても、続けることが大切だと思うのです。
例えばコンビニの店員を18年間やっていて、キビキビ動くことができたら、すぐに他の店でも働けます。
人がどういうことを必要としているかもわかります。

早川:ちゃんとお金をもらう仕事をして、その土俵に立ち続けているのと、そうでないのは違いますよね。

坂之上:そうだと思います。
私はIT業界で働いているので、関係者からいろいろな話を聞きます。
みんな、子どもに「スマホをどういうふうに使わせるか」または「使わせないか」ということを考えています。
でも、PCも携帯も仕事で使いますよね。
私は禁止するとか、きれいなプレゼンテーションの資料を作るということではなく、「どうすればだまされないか」を教えるようにしています。

早川:子どもとスマホの関係って正直なにが正解かぼくにはわかりません。
理由もなく触るなっていうのもおかしいし、際限なく触らせるっていうのも違う気がします。

坂之上:それぞれが考えることだと思いますけど、自分が外に出ているから、なんとなく感じるところもあるんです。
うちも悩んでいるので、えらそうなことは言えないんですけど、以前こういうことがありました。
娘の同級生のお母さんに「うちの子は医者にしたい」という人がいたんです。
でも、その人の子どもは「フィンランドのゲームの会社に就職したい」と話していたんですよ。
それってすごいことじゃないですか。
中学生で、好きなゲームを作っているフィンランドの会社に就職したいという目標を持っているんですから。

早川:具体的ですね。

坂之上:でも、お母さんは昭和的価値観で「医者になってほしい」と言っています。
医者の収入と、ゲームのプログラマーになったときの収入を比較したら、後者のほうが良かったりするんですよ。
しかも、そこは医者の家系というわけではなく、「この子は賢いから、医者にすれば食いっぱぐれがない。だから医者になれる、スマホ禁止の高校に入れるんだ」という話をしていて。
もう、びっくりしました。

早川:専業主婦かどうかに関わらず、社会とつながるのは大事ですね。
世の中の動きは刻々と変わっていますから。

坂之上:そう。時代の流れとともに、お医者さんの仕事も変わってくると思うんですよ。
AIで病気をずいぶん見つけられるようになりましたし、今度、医者の役割も変わってくるかもしれません。
そういう情報に、お母さんもどんどんついていかなくてはいけないと思うのです。

早川:ぼくらもですけど、普段情報をとっているつもりでも、浦島太郎になってしまいます。
洋子さんの場合は、ご主人から「外に出たほうがいいよ」とアドバイスされたんですよね?

坂之上:「子どもがかわいそうだから、家にいないで」って言われました。(笑)。

早川:言葉だけだとけっこう辛らつですけど、それがなかったら、今の洋子さんはなかったかもしれませんよね?

坂之上:なかったと思います。

早川:それこそ、自信のもてない母親の一人だったかもしれませんね。

坂之上:そうですね。外に行ったからわかったことがたくさんあります。
自分も働いていたら、相手が何か仕事でつらいことがあったときも、「理不尽なことって、まぁあるよね」と思えるので、温かく放置できます。
自分も仕事から疲れて戻ってきて、何もしゃべりたくない日ってあるじゃないですか。
でも、専業主婦の奥さんだとしたら「こっちは一日中待っていて、やっと帰ってきたと思ったら、全然しゃべってくれない」なら、普通に腹が立つと思うのです。
そういうすれ違いのけんかも多いですよね。

早川:ありますよね。

坂之上:私はたまたま夫が妻も社会に出ているのが大事って人だったので働く選択ができたんです。
ありがたいと思っているので、「子どもが小さいから手が離せない」って言っているお友達には、「今がんばって働くの結構大事だよ」ってアドバイスしています。

早川:結婚する前、もちろんした後でもいいですが、働くことの価値観を共有することも大事ですよね。

時代や環境を越えて自分らしく生きるために大切なこと

早川:今、結婚や子育て、仕事と生活のバランスについて聞いてきました。
洋子さんは海外生活も長いですよね。
時代や環境を越えて、本当に自分らしく生き続けるために、一番必要なことはなんだと思いますか?


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