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エリオットゆかりさん(料理研究家/イギリス)第1回「ライフワークと家庭を両立させる秘訣」

英国在住およそ20年。立ち上げたケータリングサービスが評判を呼び、英国と日本を股にかけた料理研究家として八面六臂の活躍を見せるのが今回のUpdater、エリオットゆかりさん(料理研究家)。
英国の家庭料理を日本流にアレンジして驚くほどおいしくしあげてくれた。そのレシピは英国の家庭で話題を集めると、日本にも「逆輸入」。いつしか来日頻度も増えていき、いまでは企業とのコラボイベントやラジオ、テレビにも出演する日々となった。

そんな彼女にお目にかかる前の印象は「なんと華やかで素敵な女性!」。
実際お目にかかってその印象が裏切られることはなかったが、いちばん驚いたのは取材冒頭で彼女が「自分はまず主婦であり母親」と言い切ったこと。そして様々な苦労を乗り越え、地味に地道に「大和撫子」ライクに生きてきたこと。実際ご自宅にうかがったときもご主人やお子さんのために、家のことを一生懸命していた姿が印象的だった。

渡英当初は環境に適応できず、うつ気味になったこともあるというゆかりさん。そんな彼女がいかにライフワークに出会い、英日を舞台に活躍し続けるにいたったのか。妻・母・ライフワーク。3つを幸せに生きるための気づきが詰まった宝石箱のようなインタビューとなった。今回は前編をお届けする(2016年3月イギリスで対談)。

ブログから人気に火がついた、イギリス在住料理研究家をたずねて

早川  今回は、イギリス在住の料理研究家のエリオットゆかりさんにお話を伺います。ゆかりさん、よろしくお願いします。

ゆかり  よろしくお願いします。

早川  今回は、ゆかりさんのご自宅にお邪魔しています。今日はとてもイギリスとは思えないほど天気が良いのですが、いつもこの時期の天気はどうですか?

ゆかり 今年は比較的いいみたいですけど、明日はずっと雨だそうですよ。

早川  そうなんですか。じゃあ運がよかったですね。今いるところはどういうところか、聞いている方にもイメージできるように説明していただけますか?

ゆかり  ロンドンから、だいたい電車で45分くらい南のほうにある、サリー州というところです。ロンドンから近いぶん、各駅停車しかとまらない場所ですね。

早川  サリー州というのは、細かい話ですが、厳密にいうとロンドンじゃないんですか?

ゆかり  厳密にいうとロンドンじゃないんですよね。住宅街で、ロンドンには通えるので、ロンドン郊外と言えると思うのですけれど。

早川  東京の23区の外みたいな感じですか?

ゆかり  そうですね。ロンドンを東京にたとえると、電車で45分ですから、横浜ぐらいですかね。

早川  なるほど。とてもわかりやすいです。ここがサリー州で、駅は、タッドワース。ここら辺の地名がタッドワースなんですか?

ゆかり  そうですね。

早川  タッドワースというのは、どういうところなんですか。

ゆかり  村です。お店も数えるほどしかないんです。お肉屋さん、お魚屋さん、それからコンビニのような、24時間ではないんですけど、22時半くらいまでは開いている、ちょっとしたスーパーマーケットがあります。クリーニング店などを全部あわせても20はないかもしれません。

早川  この辺はもうずっと昔から、ロンドンの中心から離れた、郊外ののどかな感じなんですか?

ゆかり  そうですね。でも車で10分か15分行くと大きな街もあるので、生活に不便はありません。

早川  なるほど。今回はそのタッドワースにある、ゆかりさんのご自宅でお話を伺っています。最初に「イギリス在住料理研究家」という肩書きから聞いていきたいのですが、先ほど、「何か他のものがあれば」という話もされていましたね。

ゆかり  はい。イギリスに住んで、最初に料理でビジネスを始めたので、一応、料理研究家と名乗っています。でも、最近は、全然違うお仕事の話を結構いただいたりするので、肩書きには困っているところです。

早川  今のお仕事や、ライフワークはどんな感じですか?

ゆかり  主婦で、母親なので、家事や子育てが生活の中心になります。今の仕事をすることになった、最初のきっかけはブログでした。イギリスに来たのが2000年で、そのとき子どもは3歳3か月。とても小さかったので、何かをやるにもなかなかできない状態でした。そこで、日本に住んでいる友達への近況報告のつもりでブログを始めたんです。結構時間があったので、毎日、ブログをアップしているうちに、料理ブログとして反響が集まるようになったんです。そこから今に至ります。

早川  ということは、結婚する前などに、例えばどこかのレストランで料理を作っていたとか、栄養士の資格を持っているというわけではないんですか?

ゆかり  それはありませんが、母が料理の先生をしていたんです。ですから、家には料理の本もありましたし、母もよく料理を作っていました。私自身は、料理は好きですが、誰かに自分のレシピを提案するなんて夢にも思ったことはありません。でも、母が早くに亡くなって、私は一人っ子なので、父のご飯を作ることになったんです。独学で本を見ながら毎日作っているうちに、いろんなノウハウが身についてきたというのが、もともとの形なのかなと思います。

早川  お母さまは、いつぐらいに亡くなられたんですか?

ゆかり  私が16歳のときです。

早川  高校生ですか。多感な年頃ですね。

ゆかり  そうです。多感で、反抗しながらも料理はちゃんと作っていました。

早川  そうですか。当然、お母さまが亡くなられたことで、ショックもありますし、家族の料理を作らないといけないというプレッシャーもあったと思います。単純に「料理をすることは楽しい」とは言っていられない状況だったのではないでしょうか。最初に料理と向き合った時は、どういう感じでしたか。

ゆかり  「父の料理を作らないといけない」という使命感みたいなものはありましたが、私にも友達と遊びたいときがあります。そういうときには、冷凍食品を使ったり、売っているお惣菜を加えたりしました。でも、「手作りのものをちゃんと一つは用意しておかないといけない」ということは、ずっと心がけていました。ですから、忙しい時でも何か一品は作るようにしていましたね。料理が楽しいという思い出は、当時はそんなにありません。でも、今考えてみると、「あまりにおいしくないだろうな」と思うようなものでも、父親は決して「まずい」とは言いませんでしたし、食べた後に必ず「おいしかった」と言ってくれていたので、それで続けることができたのかなと思います。

早川  料理は、高校生ぐらいの時からしていたということですね。そこから2015年の今ここにいることに、どのようにつながるのでしょうか? ここに至るまでの間、当然いろんなことがあったと思います。例えば、高校を卒業した後に、料理の学校に行ったとか、そういったことはなかったのですか?

ゆかり  料理を仕事にしていくことになったきっかけはブログです。とくにクリスマスの時期は、日本とイギリスでは、手に入るものも料理の見栄えも違います。イギリスでは、鶏の丸焼きなどを作るので、それをブログで紹介していたんです。それを見てくださった方から「おいしそうですね」とか「どうやって作るんですか?」というコメントをいただきました。そのときに、「自分の料理に興味を持って下さる方がいるんだ」と気がついたんです。クリスマスの時期はパーティーも多いし、普通と少し違う華やかなメニューもあるので、1週間、イギリスの料理の写真をレシピとともに載せていました。そこからお料理専門のブログに形が変わっていって、雑誌の掲載や、出版、日本での料理イベントなどにお声がかかるようになりました。ですから、ブログから始まっていろんな形でここまで来たという感じです。

最初の起業は、日本料理のケータリングサービス

早川  料理にまつわる今のお仕事は、もう少し具体的に言うとどんなことをされているんですか?

ゆかり  イギリスと日本の両方で仕事をしているんですが、イギリスの自宅では、料理教室を月に1回開催しているんです。時間的余裕がまだ少ないので、その月のコンセプトに合わせた料理を作っています。来てくださる方は、ロンドンに駐在されている方や、近郊にお住まいの方が多いのですが、最近は遠方からいらっしゃる方も増えてきました。

早川  例えば?

ゆかり  例えば、スウィンドンという、2時間以上かかるところから「朝5時前に起きました」と言って来てくれる方もいます。日本からも、「イギリスに行ったら、料理教室に参加したいです」と言って、本当に来てくれた方もいました。毎回、いろんな出会いがあって楽しいです。それから、今はもうビジネスパートナーと離れてしまったのでできないのですが、昔は、ケータリングビジネスをしていました。イギリスに来たばかりのときに、パーティーに呼ばれたんです。その家のご主人と奥様が、料理にとても時間をかけて準備されていたのですが、余裕がなかったのか、テーブル周りはキャンドルが置いてあるだけという感じのとてもシンプルなセッティングでした。「お料理をここまで頑張ってくれたので、セッティングする時間がなくなってしまったんだな」と思いました。そこで、テーブルコーディネートから料理まで、すべて自分でデザインするというケータリングのビジネスを始めました。自分も料理が手早くできるし、日本の料理を他の方々に紹介できるいいチャンスだと思って。

早川  今、サラッとおっしゃいましたが、イギリスにいらっしゃったときは、お子さんも小さかったでしょうし、主婦としていろいろと忙しい中で、実際に行動を起こすということは、なかなかハードルが高いと思います。例えば、日本にいらっしゃるときから、自分で起業をしていたとか、そういう素養があったんでしょうか。そうでないと、なかなかできないのではないかと思うんですが。


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