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vol.109 小出裕章

122top-faceこいで・ひろあき/京都大雅楽原子炉実験所助教。
1949年東京生まれ。京都大学原子炉実験所助教。原子力の平和利用を志し、1968年に東北大学工学部原子核工学科に入学。原子力を学ぶことでその危険性に気づき、1970年、女川の反原発集会への参加を機に、伊方原発裁判、人形峠のウラン残土問題、JCO臨界事故などで、放射線被害を受ける住民の側に立って活動。原子力の専門家としての立場から、その危険性を訴え続けている。

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今回は、原子力の研究者という立場でありながら反原発の活動を続けていらっしゃる小出裕章さん(京都大学原子炉実験所助教授)にご登場いただきました。震災から1年。日本の現状は? 私たちはどうすればいいのか? みなさんからいただいたご質問も交えながら、小出さんにお話しいただきました。第1回は、3.11の原発事故から1年たったいまの状況の変遷について、解説していただきました。

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第2回は、みなさんからのご質問を中心にお届けします。被ばくとは? また、被ばくを防ぐにはどうすればいいのか? 最もシンプルで、今後も変わらない方法をお話いただきました。

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前回に引き続き、みなさんからのご質問を中心にお届けします。核実験について、また、東海地震と浜岡原発の関係についてお話いただきました。

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最終回は、日本が原発を手放さない本当の理由。また、小出さんの人生に影響をあたえた本についてお話いただきました。

書籍紹介


原発ゼロ世界へ―ぜんぶなくす―(発行:エイシア出版) (エイシアブックス)

DIGEST

━━━原発事故直後の1年前に比べて、福島や日本全体の状況は良くなっているのでしょうか?

地域的なことをいうなら、3.11に事故が起きて原子炉から大量の放射性物質が吹き出してきました。ほぼ10日~2週間という間に想像を絶する放射性物質が海や大気中に出ていった。

大気中に出た放射性物質は風にのって流れます。福島原子力発電所を中心に、風が吹いた方面は汚染されました。あるときは北風にのって福島第一原発から南の方向に放射性物質は流れていく。そして海岸沿いに汚染を広げながら茨城県の北部、南部、それから千葉県の北部、東京の一部まで汚染を広げました。

sasie7またあるときは、南東の風にのって、北西方向にものすごい濃密な汚染をおとす。そして風向きが変わり、福島県の中通りという福島県内の人口密集地帯をなめるように汚染を広げ、栃木県、群馬県の北部半分を汚しました。それが3月というに起きてしまったんです。その汚染のまっただ中で人々が生活せざるを得ないという状況が今日まで続いています。

福島県、東北地方の一部、関東地方の一部の人たちはそれ以降ずっと引き続いて困難な中にいます。私が生活しているここ(大阪南部)は、幸か不幸か福島原子力発電所から距離が離れていたためにここまでとんできた放射性物質の量は少なかった。

それゆえ、大阪も京都も他人事のように今日まできてしまっている人が少なくないように感じます。

━━━原発事故当時は、「小さい子は雨にぬれてはいけない」と言われ、多くの親たちは(関東でも)雨に浴びさせないようにしていました。しかし、近頃は平気で子供が雨に濡れている光景を少なからず目にします。一方で、ホットスポットは各地で頻出しており、状況はあまり良くなっていないようにも感じます。

僕が住んでいる地域でも、みな不安を抱えながらも、この事実を忘れようとしている印象を受けますが……
みんな「忘れたい」んです。放射能は人間の五感で感じられません。見ることもできなければ、においをかぐこともできない。触ってそれを実感することもできない。そもそも放射性物質と戦うことそのものが難しい。そういう相手なんです。

震災以降、我々はいやでもそれにずっと向き合ってきました。だけどやっぱりいつまでもその状態は続けられないし、なんとか忘れてしまいたいとみんなが思っているのではないでしょうか?

去年の3月に比べ、確かに空気中にただよう放射性物質の量も劇的に減っています。だからそろそろ忘れてしまいたい。福島の人だって、関東の人、東京の人だって。事故直後であれば私は必ずマスクをして欲しいと思いましたし、みなさんに雨にぬれないようにしてくださいと注意をしてきましたが、今、どうしてもマスクをしなければならないのかと言えば、福島県内の猛烈な汚染地帯を除けば(言葉が悪いですが)それほどのことはないと思っています。

sasie8被曝すれば危険だし、雨にも濡れない方がいい。でも、マスクは私も嫌いだしうっとうしい。雨に濡れるなといっても、私、結構雨が好きなんです。自然の恵みですし。子供は雨の中でも走り回って遊ぶものだと思う。雨に濡れてはいけないと言って子供を育てることに私は躊躇がある。被ばくしない方がいいとは思いますが、雨の中で走り回って遊んで欲しいという気持ちもあります。

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