栗栖義臣さん(株式会社はてな代表取締役社長)第4回「空っぽになる勇気」
変化のスピードが早く、5年、10年先が読めない世の中。
そのなかで個人向け、法人向けのサービスを次々と展開していくはてな。
会社として、個人として、時代や環境に左右されずに生きるために一番大切なことは何だろうか?
それを聞いていくと、自分の磨き方や他者との関わり方の理想形が見えてきた。
人生でインパクトを与えた買い物
早川:ここ半年に買った1万円以内のもので、栗栖さんの人生にインパクトを与えた物はなんでしょうか?
栗栖:けっこう難しいですね。
早川:人によっては一気に下がって300円くらいの方もいました。
もちろんオーバーしても構いません。
栗栖:なんだろうな。ゲームですかね。
でもニンテンドースイッチのゲームは楽しかっただけだし、あまり思いつきません。
早川:どうしてもなければそれ以上高額でもいいですよ。
栗栖:3万円を超えてもいいのであれば、マイクとヘッドホンです。
早川:なぜですか?
栗栖:家でも声を録音したり、ちゃんと歌ったりしたいと思って、高品質のマイクとヘッドホンを買いました。
家に誰もいないときに歌っています。
早川:家は防音仕様なんですか?
栗栖:いや、防音仕様ではないんですけど、歌ってみたり、録音して聞いたりはしています。
早川:マイクの型番はわかりますか?
栗栖:「SHURE ダイナミックマイク SM58」です。
1万円は超えちゃいますけど、ど定番のマイクを買いました。
ヘッドフォンは「SONY 密閉型スタジオモニターヘッドホン MDR-CD900ST」です。
早川:今のお話に関連して、栗栖さんが人生で一番、時間、エネルギー、お金を投資してきたことはなんでしょう?
栗栖:最初の話に戻りますけど、映画やお芝居などのコンテンツを見ることですかね。
そこにはけっこうお金を使っています。
早川:それはずっと昔から?
栗栖:高校生くらいからです。
早川:誰かの影響ですか?
栗栖:実は高校生のときに演劇をしていたんですよ。
そこに誘ってくれた友達がいて、演劇に興味を持ち、高校、大学と続けました。
早川:人前でも全然あがらないんですか?
栗栖:そうなんです。
そのおかげで、社長になった後も人前で話すことに抵抗がありません。
緊張をうまくコントロールできるのは、その経験があるからだと思います。
早川:だからこそ自分を客観的に見られそうですよね。
栗栖:そうなんですよ。
ふだんがそうなっちゃうので、逆にお芝居がしにくいという部分もありました。
早川:演劇をしていたときはどういう役でしたか?
栗栖:ドラマみたいな話なんですけど。
私の通っていた高校はバス通学で、ある日バスに乗ってつり革をつかまっていたら友達が「栗栖、今度の学園祭で主役やらないか?」と急に言ってきたんです。
「え、何?」とビックリしたんですけど、「やってみるわ」と言ったのが最初ですね。
そのあとは、別に主役っていうわけでもないんですけど。
早川:おもしろいですね。
栗栖:はい。その彼にはすごく感謝をしています。
そのとき私に演劇を教えてくれなかったら、人生が全然違うものになっていたといます。
早川:演劇をしていなかったら、はてなにいなかったかもしれませんね。
栗栖:絶対にいないと思います。
妻と知り合ったのも大学の演劇サークルなので、結婚相手も別の人だと思います。
そういう意味だと本当に大きな影響を与えた一点だと思います。
早川:とくにうかがったわけではないのに、常に奥さんの話が出てくるので、栗栖さんは愛妻家なんですね(笑)。
栗栖:聞かれていないけど出ちゃいました(笑)。
早川:夫婦でうまくやっていくために気をつけていることはありますか?