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池坊専好さん(華道家元池坊次期家元)第1回「選ぶ力」

今月のゲストは、華道家元池坊の次期家元である池坊専好さん。安土桃山時代から続く由緒ある家元に生まれ、国内のみならず世界を舞台に活躍する池坊さんのお話には、花だけでなく「人生を創り、彩る」エッセンスが詰まっていた。(2018年7月対談)。

「花をいける」だけがいけばなではない

早川:最初に見ていただきたいものがあります。
実はこれ、体験教室でぼくがいけた花なんです。

池坊:そうなんですか。
どこの教室に行かれたのですか?

早川:横浜にある教室に行きました。
いかがですか?
シビアにチェックをしていただいて構いません(笑)

池坊:まったくの初めてなんですよね?
リアトリスとひまわりの直線と、このススキの横の自然な流れ。
この対比はとってもいいと思います。

早川:ありがとうございます。

池坊:空間のバランスもうまく取れているので、いけばならしい雰囲気も出ています。
ちょっと気になるのは左右が対象なこと。
もう少し変化をつけたほうが、よりいい作品になるのではないかと思います。

早川:ありがとうございます。
初対面で品評をお願いしてしまいました。
今回このインタビューをさせていただくにあたって、体験に勝るものはないと思って。
ご著書にも、「360度どこから見てもきれいに生ける」ということが書かれていますよね。
頭ではわかったつもりでいましたが、体験することで、より理解が深まりました。

池坊:実際にハサミを持って切ってみると、また違うでしょう?

早川:花バサミを使ったことがなかたので、最初はどう切ったらいいかわかりませんでした。
普通のハサミとは違って、柄の長さが刃よりも長くなっていますよね。
そのあたりからすごく勉強になりました。

池坊:こういうふうに取材をする前に、体験をしてくださった方は初めてです。
皆さんこれまでに出版された記事を読んだりすることはありますけれど、実際に自分が生けてからこのインタビューに来られたっていうのは、本当にまれです。

早川:ありがとうございます。
ちょっとだけプラスポイントですね。

池坊:あはは。

早川:池坊いけばなには、「自由花」「立花」「生花」というスタイルがあります。
その中の「自由花」という形でやらせていただいたんです。
自由ってかんたんそうですが、実際には「何をしたらいいんだろう」と戸惑ってしまって、少し難しかったです。

池坊:皆さん「自由のほうが難しい」っておっしゃいます。
最初は「こういうルールを守ってください」って言われたほうが、手順がこなしやすいですよね。
そういったものをマスターしてから、自分の感性やアイデアを発揮するほうがやりやすいようです。

早川:ケースバイケースだと思いますが、入門したばかりの方にはどういうふうに教えていますか?

池坊:まず、「立花」は入ったばかりのときはできません。
ある程度の経験を積んで免状を取ってからではないと習えないんです。
池坊としての美観はあるけれど、個々の感性や発想の幅が大きいので、どこまで多様な世界を受け入れるかという点で、手直ししにくい部分もあります。
「生花」はルールがあって、「こういうことが間違っている」と指摘できるので、生徒さんも直しやすいようです。

早川:なるほど。
さっき「自由」は逆に難しいというお話がありましたが、普段それだけ制約されているということでしょうか?


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