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石田衣良さん(小説家)第4回「書き手としていちばん大事なこと」

石田衣良さんは毎年2冊のペースで新刊を出しながら、さまざまなイベントやメディアにも出演している。その合間に膨大な量の映画やドラマ、アニメを観て、本を読み、国内外のニュースをチェックしているという。多忙極まりないように思うが、その姿にはいつも余裕がただよっており、少しも忙しさを感じさせない。彼はどのように時間をやりくりしているのだろうか? その時間術や執筆環境へのこだわり、新作小説の構想について聞いた。

ネット小説から直木賞受賞者は出るか?

早川:リスナーの方からこんな質問をいただいています。
「誰でもネットに気軽に文書をアップできる時代。私自身はまだ本当におもしろいと思える作品には出会えたことがありません。作品が乱立しているので、良質な作品を探すのが難しいと感じます。ネット小説をアップしている人の中には、『これからの時代は直木賞もネット小説から出るようになる』と言っている人もいますが、今の段階では、本当かどうか疑わしく思います。衣良さんは、ネット小説またはネット時代の文学についてどう見ていますか?」ということです。

衣良:どんなジャンルにも天才はいるので、ネット小説でも一人か二人はそういう人が現れるかもしれません。
ただ、今の段階ではネット小説の大半に編集者や校閲など他人の目が入っていないので、作家自身がよほどのセンスや文章感覚を持っていないと厳しいと思います。
今出回っているネット小説って、アニメの脚本を読まされているようなものが多いんです。セリフがあるだけで、情景描写は何にもない。
「この人たち、真っ白なスタジオでしゃべっているの?」と思うような小説がたくさんあります。
そういう点では、「まだまだしんどいよな」と思いますが、将来的にネット小説から天才が現れる可能性はあるんじゃないでしょうか。
米津くんだって、ボーカロイドの曲をネットにアップし続けて、こんなに人気が出たわけでしょう。
そう考えると、ネット小説が出版されて直木賞をとることも普通にあり得ると思います。
ただ、小説ほどプロとアマの差が激しいものはないんですよ。

早川:カラオケではプロ顔負けの子は普通にいますけどね。

衣良:でも、小説の場合は実力が明らかに違います。
ネットで好き勝手に書いている子達は、もう箸にも棒にもかからないぐらい下手なので。
「小説なんて誰でもできる」と思われがちですが、実は一番差が出るんです。
こんなに実力差が出るのは、相撲と小説くらいじゃないかな。

石田衣良の「時間術」

早川:リスナーからこんな質問もいただいています。
「以前、人生にテーマを持つという話をしていたので、衣良さん自身が今どんなテーマに興味関心があるのか教えてください」

衣良:あと20年、自分のペースで本を書きながら暮らしたいのが一つ。
40、50代が忙しすぎて旅行できなかったので、旅をしたいっていうのが一つ。
ずっとペーパードライバーだったので、講習に通って運転もしたいですね。

早川:今後、執筆のペースを落とすこともあり得ますか?

衣良:いや、あまり変わらないと思います。
今も無理して詰め込んでいるわけではなく、年2冊ぐらいのペースですから。

早川:毎月締め切りがあって、すごく忙しいと思うんですけど。
その中でたくさん映画を観たり、本を読んだりされています。
こういう言葉は嫌いかもしれませんが、衣良さんの「時間術」を知りたいです。


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