髙田賢三さん(「KENZO」創始者)第3回「クリエイティブな環境が才能を開花させる」
髙田賢三さんは、フランス・パリに渡った後、デザイン画を売りながら生計を立てていた。そこにチャンスが舞い込み、ギャラリー・ヴィヴィアンヌに初のブティック『ジャングル・ジャップ』をオープンし、初めてのファッションショーを開催。まだ日本がファッション界で名を馳せていない時代に、着物からインスピレーションを得た作品を発表し、フランス人を驚かせた。デザインには花柄を多用し、そのカラフルな色使いから「色の魔術師」とも呼ばれるようになる。賢三さんは、これまでどのような環境で才能を磨いてきたのか。そのクリエイティビティに迫った。
髙田賢三が感じる「足りないもの」
早川:今「旅」というキーワードが出ました。
最近行った旅先で一番よかったのはどこですか?
髙田:いつも同じ所に行っているんですよ(笑)。
日本に帰ることもあるし、タイの友達のところにもよく行くんです。
あとは、タイ、ギリシャ、トルコが好きです。
いわゆる冒険的な旅行は少なくなりました。
年のせいもあるし、一緒に旅行してくれる人がいないのですよ。
早川:募集したらたくさん出てきますよ。
僕も連れて行ってください(笑)。
髙田:そういうのが必要なんですよね。
誰かと一緒に分かち合えない。
それが、今足りないんですよ。
早川:同じスペイン旅行でも、一人で行くのか、誰かと一緒なのかでまったく違いますよね。
髙田:どこへ行こうとか相談したり、感動したときに一緒に話したり。
人がたくさんいても嫌なんです。
友達と3、4人で旅行することはありますけど、2人の場合だと違います。
早川:そうですね。確かにそこが大事ですよね。
髙田:それが、今のところ、本当に欠けています。
これはなかなか難しい。
去年、「この人と一緒なら楽しいかな」と思って、昔から知っている友達と旅行してみたことがあるのですが、やっぱりダメでした。
早川:ダメというのは、どういうことですか?
髙田:どういうふうに説明していいかわからないんですけど、「もう一つ線を越えないと」という感じがしました。
人生で最も影響を受けた人
早川:少し話を変えますけど、賢三さんが「人生でもっとも影響を受けたコト、モノ、ヒト」と聞いたときに、思い浮かべるものってなんですか?